こもれび(26)

 こもれび(26)


り 2018

 

ささやきが耳に優しき小鳥たちふいに来てふいに飛び去りゆきぬ

 

この夏のグリーンカーテン糸瓜なりヘチマ水を手に入れにけり

 

すつきりと瓶に満たせるヘチマ水肌によろしく手造りをして

 

()や重き 見上ぐる先に嘴太の大き翼が飛び去る所

 

凛とした青空があり水仙に素心蝋梅に光あふれて

 

 三匹の子狐遊ぶ坂稲荷褒美は真新しき瓔珞やうらくならむ

 

梅の咲く坂稲荷社の守狐子狐三匹足元に()

 

激動の昭和を経て稲荷社はビルの谷間の影となりたり

 

非毛氈贅を尽くせる雛飾り展示をされて弥生となりぬ

 

戦時下の国策雛とふ統制品 片隅にあり地味なる陶にて

 

粗末なる国策雛は非毛氈に飾らるるなく隅に置かれて

 

春雨に蹲踞(つくばひ)の水あふれたり水浴びをするニンフ賑はふ

 

満開の桜の枝を移りつつツツピツツピと鳴く四十雀

 

いんいんと苦悩葛藤引き摺りぬ悔しけれども負けるが勝ちさ

 

政界の汚き手の内見よとてか天知る地知る己知るべし

 

花のみどり見えざるほどに近寄りて目を凝らし見る御衣(ぎょい)黄桜(くわうざくら)

 

公園のたつた一本の御衣黄桜珍らしき花弁拾はむとせり

 

「草上の昼食」の如き談笑と噴水広場に昼餉を広げ

 

うららかな花絵砂絵に蝶も来て東京インフォラータ二〇一八

 

薔薇の花六万本のはなびらが花絵のために用意されたり

 

初めての花絵の作業幼き日のおままごとに似て楽しき作業

 

葉が憎くなるまで鬱を引き摺りぬ半夏生細き花穂を伸ばす

 

イネ科粟濡れ手に粟の驚きなり狗尾草は救荒植物

 

幼子よシャボン玉は如何かな これは無患子(むくろじ)ゑごの実の液

 

清少も紫女も使ひしシャンプーか無患子の泡優しく立ちぬ

 

いぶかしき無患子液のシャボン玉一つ二つ脹らみて爆づ

 

無患子のシャボン玉液アルカロイド そおつと吹いてね飲むんじゃないぞ

 

履き慣れぬヒールを穴に取られけりシンデレラならず靴引き摺りぬ

 

壮麗なシャンデリア輝く椿山荘祝ひの席に微笑み固し

 

そこここの家に(そこ)槿(べに)咲くを見る利休好みの花が咲く

 

この夏の猛暑に痛みしわくら葉か木下にをればはらはらと落つ

 

花も葉も同じに見ゆれば決め難し高砂百合と鉄砲百合と

 

篝火に火の入りていよよ里神楽千年の溝が埋められてゆく

 

古代にもセクハラはあり(あま)(てら)大神()が天の岩屋戸にお隠れになる

 

神々の下りたる夜御社の森あかあかと嬉しさうなり

コメント

このブログの人気の投稿

さくらタウンに行てきた!

邪気を払う「菊枕」を作る

三ヶ島葭子 資料編