河野裕子の植物の歌9

続河野裕子歌集の植物の歌9

*マテバシイの実はブナ科ドングリの中でも最大の大きさ 約1cmにもなるだろうか、粉末にしてドングリクッキーの材料に使用する、癖のないあじ。

マ行
    馬刀葉椎(まてばしい)p102
宇宙駅のベンチにひとつ持ちてゆく()()()(しい)のドングリひとつ






    椋の木p95,132,134
椋の樹の木下の時間ゆつくりと椋の樹が椋の実こぼしくるるなり



    むくげp46
水中にうつぶすやうにさびしいと九月の日暮れ紫むくげ







    郁子(むべ)p60
褪せてゆくひぐれの空に(ねぢ)るがに形ほそきなり郁子(むべ)のはな()



    孟宗p95
孟宗の大竹に囲まれ住む暮し竹群(たかむら)聞く暮し今日よりぞ始まる



    紅葉p15,63,64,116
葛城(かつらぎ)の古ひと佐美雄失せたりき今年の紅葉ぐづぐづ濁る


    桃の花p46,49,111
水平に夕光みちゐる桃畑水中花のやうなり桃の花

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