河野裕子の「植物」の歌6
河野裕子の詠んだ植物の歌6
「続河野裕子歌集」より タ行の歌
①
蓼p94,95
蓼の穂を膝に分けつつ歩みくるあなたは昔からそんなふうに弟
②
ダリアp85
白蝋のやうなダリアの球根らこの国の土壌に溶けてしまひたる
③
茅の花(ちがや)p62
からだなのに肘のことは忘れてゐた茅の花がふつと触れて
④
ちから芝p27
風草やちから芝茂る道を選り陽の照る限り今日は歩けり
⑤
茶の花p150
扱いにくくなりゆく身体と付き合ひて短日暮れゆく茶の花ほろろ
⑥
椿p85,99、101
御納戸が毀たるるまへの板の戸に映りてゐたる椿の照葉
⑦
冬瓜p63
冬瓜の尻かゆからむ地にすこし触れゐしところすこし湿れる
⑧
どくだみp110
やまひだれの中に咲くなるどくだみに雨は七月のひかりを運ぶ
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