河野裕子の植物の歌5

2018.8.17
河野裕子の植物の歌5(シ~ダ)


    シャガの花P48,53,142
この世には少しの時間が残りゐて月光の白い花はシャガの花なり


    じゃがいもP111
じやがいもを買ひにゆかねばと買ひに出る この必然が男には分からぬ


    白藤P99
白藤の匂ひ嗅ぎしは前世(さきのよ)の悲哀のやうなり午睡より覚む


    西瓜P147
八十年を変物(へんぶつ)通ししこの親爺形容しがたし西瓜作りが上手

    水仙P99
水仙の冬芽の伸びのよろしさを落葉かき分け確かめにけり


    酔芙蓉P115
酔芙蓉の花が見えくるは(ひつじ)の刻 泳ぎ疲れて帰りくるとき



タ行
    鷹の爪p100
鷹の爪いづこにも赤く乾してある旧岩倉村意外に広し


    篁p88,89
蒙古斑しばらく見えてをりしかど篁の空昏れかたぶきぬ


    竹p109,111,116,142
雨の日のいよいよ暗くなり青い雨靴を見つめて歩く


    ダチュラp114
喘息持ちのわれはよろよろとそこへ行く巨き漏斗花ダチュラの方へ

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