河野裕子歌集の「植物」の歌3

2018.8.15
河野裕子歌集より「植物」の歌
 カ行残りの歌(9/19)


    菊P20
暗きまで明るき午前十一時真金(まがね)ひといろに嵯峨菊なだる


    キャベツP83
腐れつつ溶けかけてゐるキャベツらを跨ぎて歩く雨のキャベツ畑


    桐P51,100
ゆふぞらの青く冷えゆく一角に燭台のやうに桐の筒花


    くぬぎP133
裏山で拾ひしくぬぎのドングリが数は減りつつ年を越しゆく


    胡桃P114
凹凸を撫でゐる指が感じゐる賢さうなり胡桃といふ()

    罌粟P84,131
罌粟も薔薇もわれが育てて机に飾る見てね見てねと猫にも言ひて
    コスモスP61,92
コスモスの花が明るく咲きめぐり私が居らねば誰も居ぬ家
    辛夷P105
かかりつけの医者とふ縁に日々通ひ並木の辛夷の花どきに会ふ


    胡麻P94
実家には胡麻を育てし夏ありきわづかな嵩を筵に干して

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