河野裕子歌集の「植物」の歌 2


河野裕子の植物の歌 2
カ行の歌 (10/19)

    柿P69
柿若葉しんと光りてゐたるのみ村の入口(はいり)に隧道ありき

    風草P27
風草やちから芝茂る道を選り陽の照る限り今日は歩けり

    かたばみP67
こまやかに黄のかたばみが咲きてをりあなたに多くの借りあるこの世


    かみつれP90
もつさりしたカミツレたちを束にして茶色い紙にくるみて呉れぬ

    萱原P114
薄うすと秋陽の暮れる萱原(かやはら)に顔真剣な雄雉と会ふ

    カラスウリP54
カラスウリの青い藪ばかりとなりし村 菌糸に覆はれ道が消えゆく




    からまつ草P59
からまつ草をあなたは購ひき胸に抱き日盛りの道を並びて帰る




    刈安、青茅(かりやす)P52,60
空耳か 日照(そば)()走れる草道に(かり)(やす)ばかりがまつすぐに立つ

    木苺P51
摘みためて来る木苺蕗の葉ごと灯の下におき家族らを呼ぶ

    桔梗P86
萩桔梗さびしく描けば野辺の風立ちそよぎくる扇を買はな

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