河野裕子の植物の歌8

河野裕子の植物の歌8
ハ行

    萩p37,86,128,136
しろじろと雨の中なる白き萩雨あかるくて限りなく散る





    白木蓮p17
人はみな何かの途上で死ぬるのか雨やみて白木(はく)(れん)月光の中


    浜木綿p26
第三のコースに呼ばれ立ちあがる紺の水着のなかの浜木綿(はまゆう)


    薔薇p84
罌粟も薔薇もわれが育てて机に飾る見てね見てねと猫にも言ひて

    ひめじをんp91
枕木のあはいに低く花咲かすひめじをん淡し真白ならずも


    ひるがほp52
ひるがほの折り目正しき襞襞に陽が深う差し紅帰りくる





    蕗の葉p51
摘みためて来たる木苺蕗の葉ごと灯の下におき家族らを呼ぶ


    ぺんぺん草p124
まつすぐなぺんぺん草ばかり見えてゐて何ということだ四十代終る


    ほうせんかp92,111
田舎にも厠といふもの無くなれり紅いほうせん花が縁沿ひに咲く




    牡丹p80
牡丹(ぼうたん)蜻蛉(とんぼう)(とんびん)とルビ付きの句の多き中に(さはぎり)()ますよき句に会ひぬ


    菠薐草p154
滾る湯に菠薐(ほうれん)(さう)を放ちたりわつと噴きくるヨモツヒラサカ


    ほほづきp62
袋小路はほほづきのやう ひとつづつ小さな夕日を包みて昏るる



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