河野裕子の植物の歌4

2018.8.16
河野裕子の植物の歌 サ行(10/16)

    桜P42
いちまいの光となりし水の面に影さだまらず桜散りをり


    石榴P83
なかんづく神経がいちばん弱いのだ病棟裏の花石榴の木


    笹の葉P113
月あらぬ夜道に出でて笹の葉の湿りし匂ひにじつとつなり

    山椒P48
山椒の葉つぱの色せる憂うつを山椒の木が慰めくるる


    椎P27、45
風なかの椎の房花どんなにか風はよからむ高きに咲きて


    樒(シキミ)P148
氏子誰も白装束に無言なり樒一葉唇にはさみて


    洋杉(シーダー)p103
黒馬が濡れてこちらに歩み来る理学部まへの洋杉(シーダー)並木


    篠竹P21
裏やぶにひつそり篠竹削るなり小さな肥後守握りかへ握りかへして


    じゅず玉P49
じゆず玉の御手玉(おじやみ)じやくじやくぴつぴつと()()の宙を快活に飛ぶ


    棕櫚P90,132
この家で俺らは死ぬさと言ひながら棕櫚の徒長枝伐り始めたり

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