『午後の庭』 永田和宏歌集 を読む

 『午後の庭』 永田和宏歌集を読む 2

 1で取り上げた(P101、P140の歌)は亡き河野から伝授された植物を愛する姿勢を読み取ることができるが、「ひかげ」「ひなた」の詳しい区別などを学究的に楽しむ歌があることに気づいたので、どのような植物を楽しみながら詠んでいるのか気になり書き出してみた。
以下に列挙

 ①キンポウゲ ②コスモス ③桜、山桜 ④立葵 ⑤あさがほ ⑥カミツレ ⑦からすうり ⑧姫女苑、春紫苑 ⑨はこべら、胡瓜草 ⑩ひるがほ ⑪柿の葉 ⑫ゑのころぐさ ⑬どんぐり ⑭白梅、紅梅 ⑮ししうどの花 ⑯やぶがらし ⑰ひまはり ⑱まんじゅしゃげ ⑲すすき ⑳をみなへし ㉑天人花 ㉒バラ ㉓水仙 ㉔熊笹 ㉕またたび ㉖藪椿 ㉗ろうばい ㉘めひしば ㉙風草 ㉚のうぜんかづら ㉛落葉松 ㉜チューリップ ㉝菜の花 ㉞たんぽぽ ㉟ナヅナ ㊱欅 ㊲桂 ㊳きのこ ㊴柚子など

 531首中 複数回詠まれたものを含めると71首、全体から見ると11.5% が植物と関連づけた歌で、植物を愛する気持ちが伝わる。特に筆者も野草好きなので園芸植物でない地味な野草、一般的には眼にしないであろう(はこべら、ゑのころぐさ、やぶがらし、すすき、めひしば、風草、なづな)の歌を取り上げてみた。

 P42 はこべらの〈ら〉は等(ら)にあらず繁縷(はこべら)でありしを知りぬ『胡瓜草』のなかに

P73 さりげなく野の花があったあの頃のコップにゑのころの穂が三,四本

P102 巻きのぼるものを択ばずやぶがらしの繁りて電気メーター読めず

P120 死なれるは自動詞にしてかつ受身あなたに死なれてしまつた すすき

P168 いつのまに死んでゐたのか雌日芝の穂が眼交ひに揺れてゐるまに

P174 終点まで一緒と言つたはずなのに途中下車して風草そよぐ

P220 タンポポもナヅナも咲いてとんとんと地球と逆に私は歩く


○植物のいづれの歌も君(亡き妻)を追憶し対話をしている歌と読むことができるように思えるのだが…。この世のすべての植物に君が宿っていて、植物を見ることが君と歩くことの証なのだろう。

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