所沢市出身の三ヶ島葭子6

(その6)
「少女号」の歌
 葭子は少女向け雑誌「少女号」や「少女文芸」に大正9年~15年まで、少女短歌や物語を病気で休まざるをえない時を除いて連載する。掲出歌は大正9年2月号掲載の「雪ー少女の日の思い出ー」短歌十首のうちの後半7首である。大正時代と現代と変わらない小学生の「雪の日」のわくわくした感じが伝わる。

・ましぐらに雪降りくれば先生は一時間はやくしまひたまへり
・雪ふかしこの道のべにぬきとりて写生したりし野菊を思ふ
・二階なるこの教室のがらす窓ふゆ空はれて甲斐が嶺見ゆる
・本包かかえてひとりいそぎゆく道は凍れり寒しとおもはず
・妹のおもちやにと摘む茶の花は朝の霜にぬれてつめたし
・この朝も我を待つとて縁がはの日なたに友は編物なせり
・とびとびに道の深雪ふみつけおく大人の足あと拾ふに難し

                  (注 漢字にはすべてルビが振られているが省略した)
                                  『少女おもひで草』より

 いづれの歌も、少女の姿が清純で愛らしい。また大人たちも雪道を踏み固めて少女の帰りを待っている、慈愛深く見守られている様子が少ない言葉のうちに伝わる。

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