こもれび 2023
こもれび 2023 新玉の年 ・門松に小松をさせと呼ばれたり旧岩崎庭園寸胴門松 ・寸胴をそぎ落としたるは家康の立腹の仕業と 庭師の言葉 ・門松に常世の松を挿し加ふ 良き年ぞ来む幸ひの松 ・ゆつたりと旧岩崎邸の庭に立つ ほんとうの豊かさ心ににじむ ・大観が清き旧宅のたたずまひ 静謐にして上野ゆめぐる ・ 貞 ( くわう ) 明皇后 ( ごう ) に 愛され し 鳥 「 叭叭 鳥 」 の 黒き 絵画に 心 を ゆらす 草の実 ・藪の中扱ぎ来しやうなひつつき虫あまたが付きぬ秋の山裾 ・ ササガヤかイノコツチかはた何か取り除きがたき草の実あまた ・美しき君の心がラッピングされたるホームメイドのお菓子 ・五年間の任期の終りを華やかにラッピングしたる君の心は ・兄らしき決意と思ふ 抗ガン剤治療耐えがたしと中止せるまで 銅像 ・低山と見くびるならね勢ひで登り始めし丸山ぬかる ・札幌の丸山公園に曽祖父の銅像立つといふ岩村通俊の曽孫 ・銅像に導かれたるその足で登り始めし丸山 225 m ・最終の候補は航汰か航佑か その響き良しと返事を返す 札幌雪祭り ・雪像を作るも壊すも見たきなり雪まつりは 8 日間にて ・純白の雪像眩しもとりどりの色はじけ散る会場のうち ・雪上に明るき色を集約しゆるキャラがをり 雪像広場 ・純白の雪像細かく手のぬくもりもて仕上ぐるといふ ・純白に輝く雪像「エンブリー荘」 F ・ナイチンゲールの館が立ちぬ ・これがかの箒で掃くゲームかとカーリングストーン手にしつ ・ストーンは 20 kgとふカーリング押して投ぐるも半ばに止まる インプラント ・我が顎に道路工事か楔うつ音すさまじく逃げ腰になる ・顎の骨砕けんばかりの衝撃なりインプラントの台座をつくる ・もう嫌だもう懲り懲りだ歯科医院より帰るさ 一目散に ・やみくもに飛び来るものは怖きなり火を噴くミサイル飛び来る朝 ・青空に溺るるごときヘリ一機事件か事故か 不安がよぎ